風変わりな人々 体験塾メンバー紹介1 近藤さん
ちょっと変わった愉快な近藤さんの話
今回は、体験塾に来ていたメンバーの紹介をしてみたいと思います。
類は友を呼ぶ・・・と言いますが、風変わりな人間は同じように変わった人を呼び寄せるのかもしれません。 体験塾に来ていたメンバーも、変わった人が多かったような気がします。
まあ、一番変わっていたのはぶっちぎりで棟梁なのですが(笑)、今回は棟梁以外のメンバーの事を書いてみたいと思います。
ちなみに、ここに出てくる人の名前はすべて仮名です。未だにお付き合いのある人もいますが、ほとんどが今はもう連絡すらつかない状態にあるので・・・。
明るく人懐っこいのに○○な近藤さん
棟梁以外のメンバーで一番面白かったのが近藤さんというおばちゃんでした。メンバーの中でも一番よく喋っていたのではないでしょうか。
性格は明るく話好きで人懐っこいように見えるのに、本人曰く人間嫌いなのだそうです(笑)。
「えっ、なんで、そんな人いる」と思いましたが、実際に目の前にいるんだから仕方がない。人は見かけによらないと言いますが、まさにそんな感じのおばちゃんでした。
ともかく、そのせいなのか近藤さんの家は未舗装の道路以外の人工物が全くないという本当に山の中。人が作ったものは、電柱はおろか田畑もイヤという徹底ぶり。
周りには当然誰も住んでおらず、水は井戸水、ガスはなし、電気もなし。つまりは、ライフラインが全くつながっていない状態の所に、6坪ほどの家を建てて愛犬2匹と一緒に一人で住んでいました。
電気だけは、どうしても必要な時だけ自家発電機を使っていると言ってました。
巨木を一人で切り倒したおばちゃん
近藤さんの所には、デカい木が何本か生えていたようなのですが、全て自分でチェーンソーを使って切り倒したそうです。
女性でチェーンソーを使う人自体珍しいのですがこのおばちゃん、なんと慣れた人でも尻込みするような巨木を一人で切り倒していました。
私も近藤さんの所に遊びに行ったときに見せてもらったのですが、家のすぐ裏手に大きな木の切り株がありました。
その切り株は、大人が3,4人手を繋いでようやく一回りするような太さです。
通常、木を切り倒すにはチェーンソーの刃の倍の長さまでしか伐採出来ないそうですが、近藤さんの持っているチェーンソーは刃の長さ35cm程しかありません。
切り株を見てみると直径3m程でしょうか。下手をするともっとありそうです。
これでこの巨木をどうやって切り倒したのか、不思議だったので本人に聞いてみたのですが、無我夢中でよく覚えていないらしく「 さあ? 」という返事が返ってきただけでした(笑)。
さて、この巨木、切り倒せたのはいいですが、あまりに長いために谷あいに橋を架けるように倒れてしまったらしく、倒した後の処理に困ったそうです。
近藤さんが、知り合いの本職の人にどう処理すればいいのか聞いたところ、これはもうどうしようもないじゃろ!と言われてしまったそうな(笑)。
しかし、そのままでは生活に支障が出るので、すったもんだの挙句、結局棟梁が刃の長い大型のチェーンソーを持ってきて、端っこからちょっとずつ輪切りにして処理していったそうです。
かなり危険な作業になったらしく、棟梁でもあの時は大変だったとボヤいていました。
伐採作業を日常的にこなすおばちゃん
ピースしているのが近藤さん
女性でチェーンソーを使う人は珍しいと書きましたが、薪づくり程度でなら使う人はいます。
しかし、近藤さんのように伐採作業をする人は珍しいですね。私は近藤さん以外では見たことがありません。しかも60近いおばちゃんです(笑)。
家の周りに巨木がたくさん生えているような環境だったので、日常的に伐採作業はしていたようです。
体験塾に行ったある日、近藤さんのズボンのすそがスッパリと切れていました。
どうしたのか聞いたところ本人も気が付いていなかったらしく、多分朝の伐採の時にチェーンソーで切ったのだろう・・・と軽~く言われてしまいました。
「よく考えたら危ないじゃんね~」なんてノン気に言っていましたが・・・
イヤイヤ、よく考えんでも危ないだろ(笑)
もう、棟梁といい近藤さんといい、当時私の周りはこんな人ばっかりでした。根性があるというのか危機感に欠けているというべきか・・・。 それとも、彼らが普通で私の方がおかしいのだろうか? そんな気持ちになってきました。
上の写真で、ピースしているのが近藤さんです。こういう高い所も平気だったようで、垂木の上を歩いて移動できるのはメンバーの中では棟梁とこの近藤さんぐらいでしたね。
近藤さん VS マムシ
さて、お次は近藤さんがマムシ退治をした時のお話。
マムシというのはジメジメとした湿気の多い所を好むようで、水気の多い谷あいにはよく出るみたいです。
しかし、それ以外にも何か条件があるらしく、例えばうちなんかも湿気の多い所ですが、マムシを見たことがあるのは一回だけです。
でも、近藤さんの所はよく出るらしく、作業中によく見かけると言っていました。棟梁曰く、近藤さんの住んでいるところは、いわゆるマムシの谷と呼ばれるマムシの巣なのではないかとの事。
そんなところに女一人で住んでいる近藤さんが、ある日庭の植木鉢を移動させようと持ち上げたところ、その下にとぐろを巻いたマムシがいたそうです。
ハッとなり、しばらく植木鉢を持ったままマムシを見つめる近藤さん。
どうしようかとしばし考えた後で、どうしたのかというと…
え~い、踏んじゃえー
ということで、サンダル履きのまんま踏んづけちゃたそうです(笑)。 踏んでからさらに足を回してグリグリし続けたと言っていました。いわゆる、フミグリ・・・というやつですね。
以前、森林組合の人から聞いた話ですが、山で仕事をする人用に作ったマニュアルの中には、マムシと出会った時はそのまま後ずさりして近づかないように・・・と書かれているそうです。
近づいてから踏んづけた後でグリグリしなさいとはどんな本にも書いていないと思いますが(笑)、ともかく踏みつけて退治しようとした近藤さんでした。
この後近藤さんが棟梁から言われた事とは?
しかし、マムシというのは実にしぶといというか生命力が強いというかなかなか死なないもので、そのしぶとさはゴキブリ以上かもしれません。
私も一匹仕留めたことがあるのですが、頭をつぶされてもその後かなり長い間ウネウネと動いていました。 それぐらいしぶとい生き物ですので、当然フミグリしたぐらいでは死にません。
それから近藤さんがどうしたのかというと、今度は雑草取りに使っている小さなクワを持ってきてそれで小刻みに叩いたそうです。
斧とか鎌を持ってきて仕留めればいいものを、なんでよりにもよってそんなものを持ってきたのか分かりませんが、とにかくそんなことをして30分ぐらいマムシと格闘していたと語ってくれました。
そんな話を聞いた後で、周りにいた皆でゲラゲラ笑っていたところ、しばらくしてから棟梁がそんな殺し方はいかんと言い出しました。
なんでも、動物というのは自分が命の危険にさらされると、断末魔の叫び声をあげて仲間を呼ぶ事があるらしいです。
鹿などではそんな話を聞いた事がありますが、マムシも例外ではないようで、その鳴き声は聞いていて何ともイヤーな気持ちになる声だと語ってくれました。 こんな話をするという事は、棟梁は聞いた事があるんでしょうね。
さて、これ以外にもまだまだ近藤さん関連の面白い話があったと思うのですが、今思い出せるのはこんな所です。何か思い出せればまた書いてみたいと思います。