屋根材の施工の仕方4 アスファルトシングルの張り方
アスファルトシングルで屋根を造る
今回は、いよいよ屋根に屋根材としてアスファルトシングルを施工していきました。その時の話です。
前回は、アスファルトシングルの購入から施工準備までの事を書きました。
このシングル材に糊をつけ、屋根の上まで上げてからルーフィングの上に釘で固定していきました。
開始した時期は、梅雨に入る直前だったと思います。
まずはスターターの製作から
まず最初に、スターターと呼ばれるシングル材を軒先に沿って張っていきました。スターターは、シングルを横半分に切断して作成します。 シングルには縦にスリットが2本入っているのですが、ここから先を落とすような感じです。
シングルを切断するときは、必ず裏側からカッターで切断します。 そうしないと、すぐにカッターの刃がダメになりますし、そもそもきれいに切れません。
ウマの上に足場を2本渡して、合板をのせてからその上で作業しました。 ここで、あらかじめ必要枚数分切ってから上にあげていきました。
糊もこの段階で付けておきました。裏面の真ん中ぐらいに、横方向に1本のラインを引くように糊を付け、それをもう一枚の裏側と重ねてワンセットにしておきます。
この作業を繰り返して、全てのスターターに糊を付けていきました。
シングル材に使う専用糊について
シングル材に使う糊ですが、糊というよりはにかわに近いです。 アスファルトを、そのまま溶かしたような感じですね。粘度が高いので、かき回すのにも結構力がいります。
私も手に入れるまで知らなかったのですが、このシングル専用の糊は、夏用、冬用、春秋用と季節によって分かれています。 私が購入したのは、もちろん夏用です。
季節によって、粘度を調節してあるようです。 夏は溶け出しやすいので粘土を高く、逆に冬は粘土を低くしてあるようです。 春秋用は、その中間というところでしょうか。
ホームセンターに置いてあるのは、春秋用だけでした。 こちらと神戸のホームセンター数軒を見て回ったのですが、夏や冬用を置いてあるのは見たことないです。
違う季節のモノを使用してしまった場合、どうなるのかは聞いた事がありませんが、夏に冬用のモノを使用して施工した場合、暑さで溶けだしてくる可能性はあると思います。
スターターを軒先に張っていく
さて、この糊を付けたスターターを屋根の上にあげようとしたのですが、シングル材は柔らかいために板の上にでものせないとまとめて持ち上げることが出来ません。
少量を何回かに分けて軒先に上げていったのですが、この段階ではまだ脚立で上げることが出来ました。
しかし、2列目以降はけらば側から梯子を使わなければ上げられないのです。 これは、この後の事を考えると何か工夫しないとダメですね。
とりあえず、スターターを軒先に張っていきました。 2枚のシングルの間に隙間が出来ないように、また真っすぐになるように注意して張っていきました。
糊はもう付けてありますので、あとは釘で固定していくだけです。 両端を釘で固定し、数枚並べてまっすぐになっていることを確認してから、等間隔になるよう中ほどに2本の釘を打っていきました。
スターターの上に1列目のシングル材を張っていく
スターターを張り終えたので、今度はその上に1列目のシングルを重なるようにして張っていきました。
スターターと同じように、裏面に糊を付けてからもう一枚と張り合わせて、2枚1セットになるように必要枚数分用意しておきます。
この段階では、まだ軒先に上げるだけでよいので、2枚組のシングルを2組づつくらいに分けて屋根の上にあげていきました。
まっすぐになるように注意しながら、釘を打っていきました。 釘を打つ位置は、両端とスリットの入った切れ目の奥から2cmほど離れた所に打っていきます。
2列目からは、この釘が隠れるようにシングル材を重ねて張っていくわけです。
最初に張るシングル材は、軒先から5ミリほど出しました。
水切りはつけてあるのですが、軒先にそろえるようにすると雨が降った時に雨水が切れてくれないことがあるようなので、念のために少し出しておきました。
冒頭の写真は屋根に上げるための背負子です
1列目を張り終えたので、次は2列目です。最初に横線を引いてあるので、この線に沿って張るようにしました。
施工方法は1列目と同じですが、問題はどうやってシングル材を屋根の上にあげるかでした。 ここからは梯子を使って上がらなければならないので、両手が使えません。
色々と考えた末、屋根材を上げるための背負子を作ることにしました。冒頭の写真が、この時に使用したものです。
写真では、足の長さがすべてそろっていますが、この時は後ろ脚を屋根の勾配に合わせて短くしていました。 この屋根工事の後、草刈りをした束を入れるかごを背負えるように改造したために写真では足が揃っているんです。 屋根材が傷つかないように、ルーフイングの切れ端で足先にカバーもつけました。
地上でシングル材に糊を付けた後に、シングル材とほぼ同じ大きさの合板の上にのせ、30枚たまったら合板ごと背負子にのせて上にあげるようにしていました。
シングル材は1枚だけならとても軽いのですが、30枚ものせると結構な重さになります。 これを背負って屋根の上まで梯子で上がるわけです。
40枚まではなんとか行けたのですが、梯子を登っている最中に何かに当たって振られた場合にこらえきれずに落ちる危険性があったので、安全を考えて30枚にしました。
梯子を登る時の安全対策をしておく
梯子は4m以上伸ばせる2段式のモノがあったのですが、最終的に棟の高さまで登る必要がありました。 しかし、このままではちょっと長さが足りなかったので、少し改造することにしました。
45ミリの角材を、梯子に挟み込む様な形にして1m程延長しました。 けらばが梯子と当たる部分には、布を巻き付けておきました。
梯子は動かないように足元を杭で固定し、途中にはロープをけらば下の材と結び付けて離れてしまわないようにしました。 これで安全性はだいぶ確保できたと思います。
念のため、落ちてケガをしてもすぐに助けを呼べるように、携帯電話を懐に忍ばせておきました。 もっとも、落ちた時に意識がなければ役に立たないんですけどね(笑)。
夏の暑さでシングル材が溶ける!
こうしてシングル材を屋根の上にあげ、まっすぐになるように注意しながら屋根に張っていきました。 作業としては同じことの繰り返しなので、特に難しいことはありません。梯子を登る時以外は(笑)。
施工中に季節は梅雨を過ぎ、雨もほとんど降らなくなりました。ということは、太陽の照り付ける夏が来たという事です。
夏の日差しに照り付けられながらの作業は、かなりキツかったです。 日のあたるキツイ坂道の上で、しゃがみながら一日中作業するところを想像してもらえれば分かると思います。
体力的にもきつかったですが、それよりも問題だったのは暑さでアスファルトが溶ける事でした。 ルーフイングもアスファルトで出来ていますが、その上を歩くと足跡がクッキリと付くんです。
施工したシングル材の上には、なるべく乗らないように気を付けていたのですが、間違って踏んでしまう事もちょくちょくありました。
ですので、日差しのキツイ日中は屋根の上には上がれませんでした。 雨が降って作業中止というのはこれまでにもよくありましたが、晴天待機というのはこの時が初めてでしたね(笑)。
この時は、涼しくなった朝と夕方のみ屋根の上で作業をし、日中は他の事をするようにしておりました。
最後は棟の部分に短いシングル材を張る
棟の近くまで来たので、一旦ここで作業を中断し、切妻屋根の残りのもう一面に取り掛かることにしました。手順は全く同じです。
残りの一面が棟近くまで来たところで、今度は棟の部分を張っていきます。 この部分は今までとちょっと違い、シングル材を3分割したものを横方向に張っていきました。
イメージとしては、ウロコが重なっていくような感じです。この部分も、糊と釘で固定していくところも同じです。 材の幅が短いので、釘は2本になります。
最後の1枚だけは釘が打てないので、糊だけで固定することになります。 私はちょっと不安だったので、かくし釘の短いのを2本打ってから、その上に糊を付けておきました。
これで屋根工事は全て終わりです。 ずっと身体に鞭打って作業し続けてきたので、この時にはもう精魂尽き果てた感じでした。