たまにはDIYとは関係ない話 親父の思い出1
親父の思い出 その1
今までずっとDIY関係の話ばかりだったので、今回はちょっと趣向を変えてDIYとは全く関係ない話を書いてみたいと思います。それは、私の父に関する思い出話です。
私の父は、昭和一桁生まれ。 幼少期を戦後の混乱の中で過ごし、成人してからはサラリーマンとして、営業一筋でやってきました。
60を過ぎても仕事に対する情熱は消えず、自分で会社を興して80を過ぎても働いていました。 いわゆる、企業戦士というヤツでしょうか。
朝早くに出かけてから、夜遅くに帰ってくる毎日でしたので、顔を合わせる事はほとんどありませんでした。 ですので、父に関する思い出というのは意外に少ないんですよね。
よく眠れる私の親父の話
目の前で、私の父がウトウトしながら気持ちよさげに舟をこいでいます。 父はよく眠る人で、普通は年をとると共に眠れなくなるものだと思うのですが、そんなことは一切なかったようでした。
私などは、3か月~半年に一度くらいは夜眠れなくなる時があるのですが、あの早く寝ないとという焦りや、翌日ボケた頭で重い胃を抱えながら仕事に出かけなければならない辛さなど、一度も経験したことがないようでした。
10年以上前、父と共に仕事で東京まで出張した事があるのですが、帰りの電車の中で東京から神戸に着くまでの間ずっと寝ていました。
これは帰ってから眠れなくなるだろうなと思っていたら、家に帰ってからもすぐに寝てしまったそうです。
全くうらやましい!
そんな父の寝顔を見ながら、ふと私の中にある一番古い父の記憶は何だろうと思い、記憶の糸を手繰ってみることにしました。
親父に関する一番古い記憶
何度思い返してみても、3歳よりも以前のはっきりとした記憶はありません。 その頃、私は横浜に住んでおり、思い出すのはその当時住んでいた団地の周辺の記憶だけです。
当時、仮面ライダーが子供たちの間で流行っており(もちろん1号2号の時代)、友達が持っていた変身ベルトが欲しくて仕方がありませんでした。
必死で父に買ってくれるようせがみましたところ、会社帰りに買ってきてくれることになりました。
その日が待ち遠しくて、ワクワクしながら待っていたのですが、ある日早めに帰ってきた父が5階のわが家がある部屋の窓から、「買ってきたぞー」と地上で遊んでいた私めがけて放り投げてくれました。
喜んで駆け寄りましたが、見ればそれは友達が持っていたモノよりもはるかに見劣りするプラスチック製の安物。
友達が持っていたものは、スイッチが付いていてそれを押すと光ったり回ったりするものでしたが、その肝心のスイッチはどこにもついておらず、色も本物とは全く違う一目見て分かる偽物でした。
せっかく父が買ってきてくれたものでしたが、子供心にもひどくガッカリした思い出があります。 今思うに、恐らく品薄で手に入らなかったんでしょうね。
頭から流血!その時親父は
次に思い出したのは、父が頭に大けがをして帰って来た時の事です。 確か、私が小学4年生の時だったと思います。
この頃から父は仕事が忙しくなったらしく、帰ってくるのはいつも早い時で22時頃。 家で出会うこともめったになくなってしまいました。
そんな父が、その日はやけに早くに帰ってきました。 「ただいま」という声に玄関まで出迎えてみると、そこには頭にメッシュの帽子をかぶった親父が。
なんでも、車から出る時に頭頂部を何かにしこたまぶつけたらしく、かなり流血したそうな。 その傷口のガーゼを抑えるために、メッシュの帽子を被っていたのでした。
父はともかく帽子が似合わない人で、どんな帽子をかぶってみてもどこか変と言うかおかしいのです。 なので、滅多に帽子をかぶらない人でした。
そんな父が、普通の人がしていても違和感を感じるようなメッシュの帽子を被って帰って来たので、私と母はその父の姿を見るなりツボにはまってしまいもう大爆笑。
厳格な人なら、家族にそんな風に笑われれば怒るのではないかと今では思うのですが、その時の父はというときまり悪そうに笑っていただけでした。
唯一人心配していたのが、当時8歳だった私の妹。 しきりに心配して父を慰めていたのですが、その様子がなんだかおかしくて、母と二人でかなり長い間腹を抱えて笑っていた記憶があります。
親父のゴキブリ退治
次に思い出深いのは、ゴキブリ退治をした時の父の姿です。確か、私が高校生の時だったと思います。
母に頼まれて、洗面所に出たゴキブリを退治しようと意気込んで向かった父。 丸めた新聞紙を右手に持ち、狙いすまして思い切りバシッ!でも、当たったのは見事にゴキブリの真横(笑)。
その衝撃でゴキブリがポロっと落ちてしまったのですが、そのまま下に落ちればいいものを落ちる途中でブーンと羽ばたいたのです。 ゴキブリって、こんな時に飛ぶんですね。
それはともかく、ゴキブリも何を思ったのか父の方に真っすぐに飛んでいき、おなかの上にピタッと止まってしまいました。
慌てたのは父で、持っていた新聞紙で必死に払い落とそうとするのですが、パニくっているためになかなか狙いが定まらず、必死でゴキブリと格闘している姿は新手の創作ダンスのよう。まるでコントをみているようでした(笑)。
その一部始終を近くで見ていた私は、この時も腹を抱えて笑ってしまいました。
親父の初入院
そんな父が倒れたのは、今から10年ほど前。 風邪や腹痛などはしょっちゅうでしたが、病院とはほぼ無縁に過ごしてきた父がこの時初めて入院しました。
病名は心筋梗塞でした。 すぐに手術をしたおかげで大事には至りませんでしたが、この時の検査で悪性リンパ腫を患っていることが判明。
リンパをやられるとガンがあちこちに転移するため、あまり長くはないという話をよく聞きます。
父も色々と葛藤はあったようですが、イヤイヤながらも抗がん剤による治療に踏み切りました。 治療はかなり辛かったようですが、半年以上かけてなんとかガンを退治することに成功。
通常であれば、この後の再発を恐れて時折病院に検査に行くと思うのですが、父はもう完全に治ったものと思い込んだらしく、その後ガンの検査に行くことはありませんでした。
心配した母が何度も病院に行くように勧めたのですが、全く耳を貸しません。 私も機会を見てそれとなく検査を促したのですが、やはり全く検査に行く様子はありませんでした。
よほど抗がん剤治療が辛かったのだとみえます。